手
手
手のひらには不思議なちからがある
痛いところに自然に手がいく
たとえば体をどこかにぶつける
とっさに手で押さえている
手を離すと痛い
また触れると痛みが和らぐ
たとえば頭が痛い
たとえば目が疲れた
たとえば熱がありそう
そんなとき
無意識に
手で触れている
手のひらは
心にも効く
大切な人が
悲しんでいたり
ひとりがんばっていたりするとき
その背中にそっと
手を置いて
寄り添うようなこともある
悲しくてしょうがないとき
悔しくてやりきれないとき
淋しくて仕方ないとき
誰かの手のひらの暖かさに
救われることもある
だから
手当てという言葉が
存在するのだろう
誰もが持っている
手のひらのちから
20210523